作家・出品作品紹介(抜粋)

ジェニファー・アローラ & ギレルモ・カルサディーラ : Allora and Calzadilla

「Unrealizable Goals」(決められないゴール) 2007 ビデオ作品

北九州のサッカー場にて、2つのゴールが向かい合わせにぴったりと配置されている。それは楯のような機能を果たしながら自己充足的な世界をつくる一方で、通常の役目を果たさなくなっている。9条の平和主義と国家主権について問いかけている。

コータ・エザワ : Kota Ezawa、江沢考太

「Who's afraid of Black, White and Grey」(白・黒・グレーなんて怖くない) 2003 ビデオ作品

冷戦を皮肉ったカルト映画「ヴァージニア・ウルフなんて怖くない」を元に、エザワは当時発生したイラク戦争に対する批判を込め、グレーゾーンを描く為に彼自身の半分ドイツ人(White)、半分日本人という背景を元に、社会におけるグレーゾーンの可能性を描こうと試みた。

松澤宥 : Yutaka Matsuzawa

「授」 約 1964年

世界初のコンセプチュアル・アーティストとして知られる松澤宥の美術活動は、「オブジェを消せ」という啓示を受けたことから始まった。その背景には、早稲田大学建築学部時代に見た、東京と広島での焼け野原を見た体験が関係している。

森村泰昌 : Yasumasa Morimura

「烈火の季節 なにものかへのレクイエム - Mishima」2006

市ヶ谷自衛隊駐屯地での有名な演説を、独自のスタイルで再演する森村泰昌のパフォーマンス写真とビデオ。アーティストはこのパフォーマンスにおいて、日本の文化人よ、立ち上がれ、と訴える。

大浦信行 : Nobuyuki Oura

「遠近を抱えて」 1982-85

自画像を作った際、どうしても入ってきてしまったという「天皇」のイメージを含むこれらコラージュ作品は1989年に富山県立美術館にて展示されたが、右翼団体の圧力のもと、展示は閉鎖され、全ての展示カタログが焼却されるという事件があった。

オノ・ヨーコ : Yoko Ono

「ホワイト・チェス」1966

この作品の鑑賞者は、チェスという戦争ゲームを行うのだが、全てのチェスの駒が白い為、戦いを進めていくうちに、戦うことが困難となり、敵対概念が相互理解へと変換して行く戦後の日本の思想が生んだコンセプチャル・アートの好例と言えよう。

下道基行 : Motoyuki Shitamichi

「無題(鳥居)」2007

アーティストは太平洋戦争中、日本軍が国家神道による皇民化の促進の為にアジア全域に建立した鳥居を、淡々と収めて行く。戦後完全に意味を失い、コンクリートの塊と化した鳥居の無意味性が、新たな意味を問うている。

柳幸典 : Yukinori Yanagi

「ザ・フォビドゥン・ボックス」

「リトル・ボーイ」と書かれた箱から、巨大なきのこ雲が描かれた布のパネルが立ち昇っている。このきのこ雲は2つのレイヤーから成り立っており、現行の憲法第九条が書かれた奥のレイヤーが、マッカーサーが起草した憲法第九条のメッセージが書かれた一つ目のレイヤーの奥に透かして見える。